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ドイツで役者
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アイアンスカイ日本政府代表 

アイアンスカイ 2012年

僕は年に会社のパンフレット用の写真撮影に時々行く。国際性を強調するためにアジア系、ラ
テン系、アフリカ系のモデルが呼ばれる。社内パンフレットの仕事等が多く、実際に社員
がモデルをするケースも少なくない。セットに行ったりすると「唯一の日本人社員が今日
本出張中でお願いすることになりました。」と内輪話を聞いたりする。2010年8月モ
デルエージェントから映画の話がきた。オーディッションがフランクフルトの駅前である
から行 かないかと。しかし僕はベルリンの役者事務所に登録しており、テレビ、映画に関
しては専属契約になっている。それ以外の仕事、例えばコマーシャル撮影等はモデルエー
ジェントを通しても良いことになっている。

正規なルートを使わないのは多分貧乏プロダクションなのであるためだ。ウォシャウスキー兄
弟がプロデュースした「忍者アサシン」の時は3分の開幕シーンのために4回もベルリン
に飛んだ。ベルリン都心の一流ホテルに泊まり、送迎車つきだったが、何はともあれ今度
のプロジェクトは断ったものの少々気になる。ベルリンの事務所に電 話するとアイロンス
カイからすでに半年前に問い合わせがあったが、以来連絡がないという。そうか。これは
確実に金欠プロダクションだ。できるだけ役者を安く雇おうとしているらしい。

鉄の空とは何ぞや?と思ったのは僕だけだろうか。重い鉄板が空からゆっくりと降りてきて地
上の人間を窒息死させるという話なのか。それとも宇宙船間大和、スタートレック等の巨
大な鉄の塊が惑星ごとく宇宙を飛び回るのであろうか。宇宙まで行けば浮くわけである
が、まず最初に地球の引力に勝たなくてはいけない。アイロンスカイだ。或いはアイロン
が空から降ってくるとっても怖い映画なのかもしれない。熱いアイロンが人間の背中、
顔、お 尻にその形を焼き残す。

断ったものの、気になるのでどんな映画かグーグルでチェックしてみた。アイアンスカイ(こ
の発音は映画祭で合った佐藤監督に教えて貰った)。。。なになに月面に逃亡したナチが
2018年に地球を襲う映画?なんだか面白そうである。待てよ、でも変な右翼気味のプ
ロパガンダ映画だったらまずいなと思った。最近ニュースの話題になった短編映画で役者
達が受け取った脚本とは全く異なった映画が出来上がり、全イスラム教徒に嫌われる羽目
に合った役者達がいる。というわけでネットでチェックしたが純粋なるB級映画らしい。
そこでアイアンスカイの映画プロダクションの担当者に自分の履歴のリンクを添付したメ
イルを送る。返事はこなかった。その後忘れたわけではないが、連絡がないのでまあ仕方
が無いなと思っていた。2ヵ月が経過した。モデルエージェントから電話が再びあった。
そこはロケーションスカウト等も行っていて、色々プロダクションのサポートもしている
らしい。今度オーディッションをするのでこないかという。決まれば僕のベルリンの事務
所を通して契約すると言ってきたので大分こっちも乗り気になった。フランクフルト大 学
の近くにあるエージェントでキャスティング撮影。今回は脚本もちゃんと送られてきた。
SFで諷刺となると興味を惹かれる。何年前かにムカデ人間の映画の誘いがあった。狂った
医者が人の口と尻を縫い合わせると言ったそれこそB級トラシュ映画だ。さすがその時は
瞬間的に出たくないと思った。主役という事実には多少引かれたが、半分裸な状態で一日
中他の役者とムカデ に繋がった状態で待機するのはきっと楽ではないであろう。だいたい
おならさえ出来ない。したら一生その女優と口を利いて貰えない事になりそうだ。なんと
言っても口とお尻がつながっているのだ。

キャスティングはものの15分で終わる。北朝鮮代表にチャレンジのニック。キャスティング
に二役演じろと言われたが日本人の役の演技しかしなかった。数日後にゴーサインが出
た。やった。久しぶりの映画出演だ。

二週間後フランクフルトで撮影だ。アイアン・スカイにはヘッセン州の映画ファンドも参加し
ているため、多くの撮影はフランクフルトで行われた。というのはヘッセン州の税金が使
われているので、ちゃんとその税金を現地で消費して貰おうという企みだ。フランクフ ル
トのある高層ビル金融街の通りをニューヨークに仕立てた。信号機を全て黄色い物に置き
換え、新聞の販売機、あの鉄でできた青、赤や黒い箱にお金を入れると扉が開き新聞を取
り出す代物を起き(いったいどこから手に入れたのか)、ドイツ中から3台のイェロー
キャブその他アメ車を取り寄せ、そして大勢のエキストラを呼んだ。ニューヨーク市の上
空の映像があるが、あれは実はトロントである。

2010年12月4日5日とフランクフルト市内で撮影があった。4日当日は午後からのコー
ルで、僕は隣町のマインツの映画学科の卒業生が久しぶりにケルンから遊びに来ていたの
で彼等とブランチをしてから撮影所に行くことにした。背広を持参してくれと頼まれたの
で幾つか車に 積んだ。撮影で封鎖されているフランクフルト金融街の道路に車を止めた。
ドイツではまれな高層ビルがならんでいる所だ。ドイツビルに入りまずは更衣室に連れて
行かれる。会議室を更衣室に用替えした部屋。衣装担当の女の子に背広、ワイシャツ、ネ
クタイを見せると、「じゃあ後でこんがらかるのもあれだから、あなたはこれとこれとこ
れで全部自前でお願い。」と言われた。選ばれた背広とワイシャツは同年の夏に「ビー
フ・ア・ラ・カルテ」というテレビ映画の撮影に使った物である。当時気に入ったので撮
影の後に譲って貰った。もとも と衣装担当がバーゲンセールで購入した物で、そこから3
割引いてくれたので(撮影使用済みということで)かなり安かった。しかしさすがプロが
選らんだせいか自分で言うのもなんだが以外と似合う。しかしセットで着ていた背広は実
際のビジネスには派手すぎる場合が多く、若干生地が光気味で、実際にこの背広は撮影後
一回しか着ていなかった。役に立って嬉しい。

それからが待ち時間である。12月で外は寒いし、会議室で待つしか手がない。セットの方はス
タッフが必死に準備をしている。プロダクションアシスタントの一人はアダチ・ユリカさんと
いいお父さんが日本人らしい。MMAの選手でもあるという。しかし彼女は仕事に追われて
いた。役者はベルリンからシリア人の父を持つサミール、中国人のファン、インド人各国
代表者としてきていた。その他にエキストラの人々が来ていた。大型会議室でのセットが
すみ、我々は中に座った。僕の隣 に座ったのがマーヴィン、ドイツ在住30年のアフリカ
系アメリカ人であった。彼はデトロイト出身で高校時代にケニー・ギャレットと同じクラ
スにいて、高校のバンドで共演したこともあると言う。米軍でドイツに来て、ドイツ人と
結婚以来ミュジシャンとして暮らしているという。とにかく待ち時間が長いので駄弁って
時間を潰すしかない。

撮影は延々と続く。国際会議のシーンは多く撮影日数はたった二日間しかない。貧乏プロダク
ションだから仕方ない。スタッフは皆走り回っている。解散は夜11時を過ぎていた。し
かし日本の過酷な撮影スケジュールからすれば大した事ないのかもしれない。

翌日は朝からセット入りだ。また延々と待つ。アメリカ合衆国のプレジデントを演じる女性は
髪型、眼鏡でサラ・パリンそっくりにしたてている。休憩で一回すれ違った時なんかどこ
かで見たことがあるなと思ったが、よくある空似と解釈した。若い監督は大きな声で、体
の大きさと共に存在感十分だった。カメラマンも体の大きな男で楽々と重そうなステ
ディ・カメラを持ち運んでいた。衣装やメークの子達は走り回り、撮影前になると皆の衣装を
整える。隣に座っているマーヴィンはベレー帽を被り、軍服みたいな物を着ていて、アフ
リカの独裁者の格好をしている 。あまり夜すれ違いたくない恰好をしている。最後に会議の乱
闘シーンがあり、それは楽しかった。机に横たわった独裁者に思いっきりエルボー
チェックを与えたのだが、(実際に国際会議で日本の総理大臣がアフリカ系独裁者にエル
ボーチェックを入れたらすごいぞ)しかしそれは残念ながらカメラに捕らえられなかった
ようだ。「危ないでしょ。」とMMAの選手ユリカさんに言われたぐらいなのに。。。しか
し背広を振り回しているシーンはバックとして使用されていた。

撮影が終わったのは夜中だった。衣装を着替えて外に出た。12月でかなり寒い。しかし皆が
打ち上げのビールを飲んでいる。というのはこれでドイツの撮影は終わりでこれからは
オーストラリアで撮影が続くのである。僕も一本ビールを手に取る。そしてスタッフ等と
と話をする。プロダクションの仕事をするユリカ・アダチさんは東京のソニーにも勤めて
いた事があると聞く。他の人と話をしている内にメークを落としたアメリカのプレジデン
トが現れた。「?」知っているこの顔と思った。そうだ、彼女は2003年にウィース
バーデンの映画際エックスグラウンドに参加していたのだ。フィルム・スクール・コン
フィデンシャルという映画できていたのだ。その時同じくLAから来ていたCurtis
Hannum (The Real Old Testament監督)とかなり遅くまでウィースバーデンの映画祭
で酒を飲んだ事があったのである。その翌年彼等とはLAでも一回合っていた。びっくり
である。

という事で無事撮影が終了した。それから役一年が経過し、ベルリン映画際で上映された。
ちょうど鉄道のマイレージも溜まっていたので、行くかという事でプレミエに行ってきま
した。朝三時までプレミエ・パーティーで飲んで、その後安宿に泊まって、翌日ベルリ
ナーレの会場で映画関係者(主に日本コネクション・フランクフルト映画祭の人)何人か
と立ち話をしてからフランクフルトに戻りました。

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