Home (Japanese)
CV/Resume/Rireki




MBA 映画プロジェクト 2000年


ロンドンで経営学を専攻していたが、国際戦略の授業でビデオクリップ製作をする事に
なった。5人づつのチームに別れて、我々はコンサルティング・カンパニーとして海外に
投資する会社に経営アドバイスをビデオに撮って納めるというプロジェクトである。重点
は国際的な人間関係。どのように摩擦を最小限に抑えながら、利益の上がる商売を行うか
という案をまとめる。エンターテインメント度もある程度盛り込んでいい事になってい
て、チームワーク自体も重視される。そのためチームも国際色豊かに組まれる。余談であ
るが、本当はMBAよりも映画専攻にしたかったが、さすが30過ぎではちょっと怖くて諦
めました。だからこのプロジェクトなおさら嬉しかった。

我がチーム:

エリック: 生物博士。ボストンのメディカルセンターで研究等を経て、ドイツの若い
トップサイエンティストとしてDNAの研究を追及し多数記事も出していたが、急に嫌気が
さしたのか、親のタバコの会社を継ぐためか、経営学を学ぶ。授業は真剣に受けていた
が、今までの研究生活の閉じこもりが爆発したのか、やたらと飲み歩いていた。ビデオ撮
影への熱は中、時々姿を消す。長身で、どこかお坊ちゃま的魅力があるのか、やたらとド
イツから女友達がグループで訪れていた。皆ドイツのお嬢さんという人ばかりだ。

キュリアコス: Cypern 出身。トルコとギリシャの中間にある島から来ている。勉強熱
心かどうかは分からない。ロンドンサウスバンク大学の学部出身という珍しいケース。ビ
デオへの熱はあるが、知識が限られている。同国出身のマリアにお熱だが、彼女には地元
に彼氏が待っている。マリアは学年の人気者でもあった。(男の)

ヤルチン: 彼のファーストネーム。いつもそう呼んでいた。ミュンヘン育ちのトルコ系
で当然ミュンヘンなまりで話す。大のバイヤルン・ミュンヘン・ファン。自営業。東独の
解散後土地整理のコンサルティングを行っていたが、それも下火になったので勉強でもし
てみるかといった感じで来てた。一匹狼でちょっと扱いにくい。結構独走してとんでもな
い方向に行く事がある。討論好きだが、なかなか退かない。「ビデオ、そんな物早く撮っ
てしまおうよ。」と彼の口癖。同コースの東独出身金髪精神医学博士女と付き合ってい
た。ブロンドが趣味らしい。

エブネテゥ: エチオピアからの国費留学生。エリックにならんでやたらとでかい。役人
で、エチオピアの経営方針を支える部署かなんかにいたらしい。昔はサッカー選手だった
らしいが、MBAサッカーには参加していなかった。膝が悪いらしい。ビデオという物には
全く関心がない。

僕: ビデオ撮りは嫌いではない。脚本らしき物は書いた事があるが、撮影はした事がな
い。



さて、このメンバーでいったいどういうビデオコンセプトを立てればよいのであろう。決
まったのが、イギリスのテスコという食料品店がドイツに進出するという過程で、イギリ
スのテスコ社本部にアドバイス・テープを製作しようという案だ。我々は貧乏な経営学を
卒業したばかりののバラックにオフィスを持つコンサルタントという設定。全てをかける
というエンターテインメント性も少し盛りこんだアドバイステープ。テレビ局が我々のサ
クセス・ストーリーを取り上げるという形になっている。大きなビル。ビッグベン。パ
ロッツ社は当時貧乏だった。プロジェクトX 風ですね。いまから考えれば。ロンドン市内
でビルを探して、パロッツ社に見立てた。パロッツに決めたのはその色彩豊かな鳥の羽。
カラーフル。我々のチームの出身地はばらばらだったのでそこから名前を取った。

ストーリーボードみたいな物も作って、収録して、カットして。最初皆やる気を示さな
かったが、だんだんプロジェクトが進むにつれて、アイディアも湧いてきて、カメラで実
際に行動に写ると、皆がらっと態度を変えてきた。やはり撮影の魅力は誰にでもわかるの
かもしれない。カットは大学の地下にこもってすることになった。ヤルチンとキュリアコ
ス、3人入ると満杯な狭い部屋でした。

失敗:初めての撮影には失敗がつき物。致命的だったのは8ミリビデオを利用した事。大
学にはちゃんとしたVHSのカメラが何台も揃っていたが、キュリアコスがこれで撮ろうと
自分の8ミリカメラを取り出した。軽く小さいのでこれはと思ったが、今から考えると大
失敗。画質の方はまだ良かったが、音質が非常に悪かった。スクリプトに多くのアクショ
ン・リアクションに細かい皮肉などが入れたつもりだったが、何を言っているかわからな
い。大ショック。第二の失敗は発表の時に複製版を映写。もともと品質の低いのにオリジ
ナルからのコピーで聞き取れたものではなかった。

まあ、周りもプロではないので、似たり寄ったりの作品だったが、傾向的に女子がいる方
が作品として幅を持っていたような気がした。まず役者だって男ばかりよりは面白い。ま
たデザインや衣装にもうるさい。ちょっとした所で気が利いていたりする。発想に幅がで
る。という事で最高な作品を作る予定だったが、初歩的な所で躓いた我々だった。

しかし、まさか経営コースで映画が撮れるとは思ってもいなかったので、かなりの儲け
物。