ドイツ警察物シリーズ

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Grossstadtrevier 2000年

「大都会区域」と訳せばいいのだろうか。これはドイツでもう10何年流れている長期警察シ
リーズである。ハンブルグで色々な事件を解決する警察物であるが、これがなんとこの世
にも存在するのかと言った、暴力シーンがない警察物だ。例えば巡査が通う飲み屋のおば
ちゃんが病気になる。そこで巡査が店で手伝う事になり、それがきっかけで犯罪を摘発し
たり、お隣に住む中学生がエキシタシーに手を出したのを追求し助ける、かなりファミ
リー感覚が強い番組だ。それでいてテンポが軽く、ユーモアもあるので、長期的に売れて
いるのであろう。

この番組から役の誘いがあった。ハンブルグは今まで行った事がない。役柄が分厚い眼鏡をか
けた、やたらとお辞儀ばかりしている典型的日本人??な役でもいいではないかと思いな
がらおそるおそる脚本を開いた。残念な事に美しい美女警官夫人とのカンフーシーンやキ
スシーンはなかったが、以外とまともな役だった。

ハンブルグでレンタカーに乗った日本のビジネスマンが駐車した車を見つけらないという話で
ある。そこで警察著に駆け込み助けを求める、というシーンだ。ドイツ語でテキストを暗
記していたが、撮影寸前に監督が「君は確か日本人だったよね。日本語話せる?」「え
え。」「じゃあ、適当に日本語で助けを求めてよ。」「はあ。」という事で日本語で警察
署に駆け込む羽目になった。「車がみつからないんですよ。会議がこれからあるのに。日
本には子供3人に妻が待ってます。この仕事がないと私の首も飛びかねません。なんとか
して下さい。」と元ハンブルグのサッカー選手だったというデカイ警察官を勤める役者に
泣きつく。と大げさに話を変えてやろうかと思ったが、まあ適度の所でしめてしまった。
さてこのビジネスマンはちゃんと車を駐車した道路名を書きとめていた。しかしそこには 
Einbahnstrasse と記されてあった。これは一方通行の意味。実際外国人は良くこの間違
えをする。strasse つまり英語の street  と最後に書いてあるのでてっきりそれが道
路の名前と思う人がいる。つまり直訳すると「一通ストリート」になる。警察諸の人は日
本ビジネスマンと区域の一通を全部調べる羽目になるというお話。

こういうシーンを撮影していると、何故か、日本を代表しているような感覚に捕らわれる事が
ある。しかし、やはり結果的には面白くなくてはエンターテインメントではないので、
うーんと考えながらも、こういうシーンは大げさなほうが面白いので、結局やや派手な行
動をしてしまう。日本人が見たらヒャッちょいとやめとくれ、と目を覆うかもしれない。
そこまで大げさにはしてませんけど。

さて、撮影所では暇にしていたエキストラの人達と話を少ししたが、撮影終了後には全くする
事がなかったの町に出て映画間を探した。するとなんとハイ・フィデリティーがやってる
ではないか。早々チケットを買いに行くが、残念な事に売り切れ、モリッツ・ブライプト
ロイ出演のイム・ユリを見る事にした。ある男がベルリンからイスタンブールまで女を
追っかけると言った、ロードムービー。面白いので機会があったらご覧下さい。

3週間後には外部撮影があり再びハンブルグに呼ばれた。車を探しているシーンと見つける
シーンだ。午前中は住宅地内の家の中で別のシーンを撮影。昼食には彼らの行き着きの中
国レストランへ行く。皆親切で太った警察署長役のオヤジとのテーブルに座った。彼は特
別にペキンダックを注文したさそうだったが、皆の統一ご飯とういか、社食というか、バ
ジェットが決まったご飯をやはりたべなくては行けないか、とテーブルの人と話しをして
から彼は残念そうにペキンダックの注文は取りやめていた。時間も掛かるのではないかと
いう意見に太った警察署長は折れたのであった。しかし、このチームの人々はやたらと親
切な人ばかりだ。スタッフから俳優まで皆感じがいい。メンバー交換はあったにしろ、
10何年も続いてる番組だからかもしれない。そこにポジティブなエネルギーが秘められ
ているでは。

午後、私は車を探す事となる。見つからない。そして夜になるまで待つ。そこで私はまだ探し
ている。パトカーの中で殆ど泣きそうな顔で車を探す。そして喜びの瞬間。運転中の元ブ
ンデスリーガ出身の警察官を喜びのあまり掴んで振りまわすという事態になる。全く訳の
わからないシーンだが、「おお、いいねえ。もっと変わったアイディアが出てくるかもし
れないからもう一回撮ってみよう。」と監督もまあ、満足そうだった。

撮影は楽しいが、結構疲れる。夜は散歩をして、ピザを食べてから帰った。ここの仕事は面白
かった。脚本家に是非今度財布をなくした日本ビジネスマンの巻きを書いて貰いたい。